【謝罪会見のススメ~全ての謝罪会見は間違っている!?~】

謝るを科学する

こんばんは。ひろきちです。
前回(クレーム処理の初動)の記事では、自分の働く製造業を舞台とした、BtoBのクレームについて書きました。
その続きについては、また別記事で触れたいと思います。

今回は、皆さんがもっと身近に目にする『謝罪会見』について、私の持論を述べたいと思います。
読む方によっては、突拍子もなく感じてしまうかもしれません。
私は前回の記事で書いたように、『謝る』ことについての世間の価値観を変えたいと思っています。なので、ここでは(今までの常識を疑う)ことを前提としてます。ご理解ください。


では、今回の本題へ入りましよう!

『ここがオカシイ!謝罪会見』

皆さんが普段、TVで目にする謝罪会見。
記憶に新しい例でいうと、厚労省の雇用保険統計不正問題や、元ジャニーズタレントのわいせつ問題などがありましたね。

その中で今回は、謝罪する側の対象を企業とし、不正や製品回収事故などを題材としてお話したいと思います。


私の持論。

『世の中の謝罪会見は、そのほぼ全てが進め方を間違っている!!』
といきなりぶちあげてみます。

なぜか?の論理を説明しますね。

まずひとつ。
・今までの謝罪会見は、目的と進行が一致していない
コレです。

よくある謝罪会見をイメージしてみましょう。
・・・沢山の新聞/週刊誌記者、リポーター、TVカメラが並ぶ前に、当事者の企業担当者が列席する。冒頭で頭を下げて謝罪。その瞬間、目が眩むほどのフラッシュの雨。記者に追及され、しどろもどろ。または逆ギレ、号泣。
憔悴しきった表情で、逃げかえるように退席。その背にマスコミの怒号。

だいたいこんな感じですよね。
そして、この会見映像が切り取ってTVで放送される。

では、この会見を行う目的は何でしょうか?
会見に出席するのは、企業側とマスメディアです。
それぞれ、どんな目的でここにいるのでしょうか?

企業側:説明責任を果たすため?
    誠意を見せて、批判をかわすため?
    事態を収拾するため?株価への影響を小さくするため?

マスコミ:視聴率、発行部数  

そう、マスコミにとっては、「企業側が何を発信するか」は求めていないのです。
マスコミにとって必要なのは、視聴率(発行部数)を取れる、『ニュースバリューのある画』なのです。

企業側が一生懸命、ユーザーに届くように・・・と誠意を持って説明しても、そんな画よりもマスコミに追及されてしどろもどろになっている映像や、10何秒間も後頭部が見えるほどに頭を下げる瞬間の方が視聴率を取れる。いつかのあの市会議員のように、号泣して面白い映像が撮れればしめたもの。何回でもリピートして視聴者の興味を誘いたい。

そう、企業側が本当にやるべき事と、マスコミの思惑は全く一致しないのです。
たとえば、日産のような自動車製造会社の会見とすると、自動車の専門家が先頭に立って質問をし、企業に納得のいく説明を求める・・・こんなことはしません。だってニュースにならないから。

逆の意味を言えば、企業側の一部も、そんな「マスコミ主導の会見」の方が有難い場面もあるのかもしれません。だって、専門性の高い質問をされ、探られると痛い内情を明らかにされたくはないから。
それなら、マスコミのおもちゃでもいいからとにかく会見してやり過ごそう。そんな企業もあるかもしれません。


しかし。
前回の記事で書いたように、時代は移り、私たち視聴者や購読者の受け止め方は変わってきました。
多くの方は、上記のような「不細工な会見」を観て半笑いで流しているでしょう?「またやってるわ」と。
本当に義憤を感じ、疑問を解決したい!と思う方は自分で調べたり、直接 当事者に問い合わせたり、意見をメールしたりされる方もいるはず。

なのに、企業側とマスコミだけは。
旧態依然の会見をずっと続けているのです。
これでは、消費者の信頼など得られるはずがありません。

このギャップを、「オカシイ!」と声を上げなければ日本は良くならない。
私はそう考えています。



②『常識を打ち破れ!謝罪会見は準備が95%』

では、私が考える『理想の謝罪会見』とはどんなものか?
まず、「謝罪会見は準備が全てを決める」と断言します。

コンセプトは、「企業主導の会見」です。
前項で書いたように、マスコミの思惑は私たち消費者が本当に求めるべきものとは違います。
ですので、マスコミにペースを握られていては何も改善できません。
そこで、企業主導で、消費者の信頼を勝ち取るための会見につなげるのはどうすべきか?流れに沿って説明します。

(1)マスコミへ会見日時をリリースする。自社HPに、特設お問い合わせフォーム(マスコミ向けおよびユーザー向け)を設置。会見に先立ち、意見・要望を募集。

・・・上述したように、マスコミは『画』そのものを欲しがっています。しかし、マスコミへ自由に質問を許してはペースを握られてしまう。その防御策として、事前に質問を募集しておきます。
特設フォームについては、マスコミ向けと一般ユーザー向けは分けておきましょう。
マスコミからは質問が来ていなくても構いません。事前告知し募集した事実があればよい。
ここで必要なのは一般ユーザーからの意見です。
※ただし、検閲や削除などはせず、どんな意見も公開しましょう。余計なことをすればイメージダウンに必ずつながります。
実際の謝罪会見では、この募集に応じて投稿された意見を基に、質問や批判に答える形で進行すればよい。
会見ではPC、プロジェクターなどを用意しておきましょう。

当然、数千や数万の意見、罵詈雑言、批判が寄せられます。
その中から意見を抜き出して答えます。公開しておくことで、「自社に都合の良い質問ばかりを選ぶのではないか」という批判を軽減できます。
※ユーザーの目が光っています。抜き出す質問は慎重に選び、むしろ自社にとって厳しい質問(突かれたくない点)を選ぶことで透明性は高まり、信頼回復につながります。

(2)会見場に入場したら、進行役は出席者全員の所属と氏名を説明。冒頭で今回の問題についてまず謝罪。着席し、進行に入る。

・・・よく「10何秒頭を下げた」などと報道されますが、通常のビジネスマナーに沿っていればいいです。あんなものに意味はありません。
3~5秒程度でよいし、自分の足元を見つめるような礼はかえって馬鹿らしくなります。

進行役の手腕が会見の出来を左右します。
冒頭に進行の手順を説明します。その時に必ず言わなければいけない言葉。

『本日の会見では、事前に募集したご意見・ご質問にお答えする形で進行いたします』
『この会見ではっきりとお答えできない、または具体策が固まっていない点に関しては、〇月〇日までに弊社HPおよびプレスリリースでご回答いたします』
これです。ボクシングで言えばジャブです。
全てマスコミの先手を打つ意味で、本題に入る前の説明がキモです。


(3)会見中、マスコミはおそらく、企業側の進行を遮って質問を浴びせてくる。そこで、質問する者には会社名・所属・氏名を名乗ってもらい、書記担当は相手の社名・氏名、質問内容をPCで打ち、画面に表示させる

・・・これはマスコミ対策です。謝罪会見であれば、TVカメラは基本的に、企業側出席者の全体が映るように引きで設置します。
そこで、カメラに映りこむ位置に画面を設置し、マスコミの質問内容・質問者の社名・氏名を表示させます。当然、文章として視聴者の目に入ることになるので、あまりに酷い言葉は発しにくくなる狙いがあります。


(4)とにかく、情報を隠さない。真摯に向き合う。

・・・これだけネット、SNSが発達した時代です。
今までのように「ただやり過ごす」「情報を隠して結論が出ない」
このような会見をすることは、結局火消しにもなりませんし、不買運動まではいかなくても、ユーザーの購買意欲は必ず下がります。
自社にとって良いことなどありません。

ここまで、事前準備と会見の進行方法について説明してきました。
荒唐無稽に思えるかもしれません。
でも考えてみてください。あなたの記憶に残っている謝罪会見は、上手くいっていましたか?「この企業はまともだな」と印象に残った会見はありますか?
それを考えると、今までの会見方法が正しいなんてことはあり得ないと言えます。

では、過去の会見で、お手本や反面教師となるような例は何があったか?
次の項で紹介していきます。

『過去の例に学ぶ~橋下市長、生レバー』

謝罪会見ではありませんが、橋下元大阪市長の会見は毎回、見応えがありました。
youtubeでも沢山残っているので、一度ご覧になってください。むちゃくちゃ面白いです。

何がいいかと言うと、橋下さんの会見はマスコミにペースを握らせていませんでした。橋下さんのディベート力の高さも勿論あります。それ以外に、橋下さんは記者に対して「質問返し」を好んでよく使いました。
論理破綻している記者にキレて、長時間の議論をしたこともありました。
当然、記者も議論できるだけの知識がなければ、こてんぱんにされてしまう。素人質問は許されない。そんな緊張感がありました。

会見を「議論の場」にしてしまう。そして、マスコミの映像切り取りに対抗し、自治体側もカメラを回しその映像を自治体HPで公開する。このような手法で、マスコミの横暴を許さない土壌を作っていましたね。
それでもマスコミはあの手この手で、市長のイメージを下げにかかる。
なので、橋下さんはしょっちゅう、会見の中でメディア批判をしていましたね。(特に朝日新聞とか、朝日新聞とか、朝日新聞とかw)

逆に、反面教師の例では・・・「生レバー問題」が挙げられます。
映像を覚えている方も多いでしょう。焼き肉店の社長が、テンションと、半ギレ的な態度で謝罪。「自分たちは不法をはたらいたという意識はないが、もしそうならお詫びします!!!(頭を机にゴンッ!!)」です。

この会見のひどさは、ご覧になった方は簡単に分かると思います。

・・・では、この「橋下市長」と「焼き肉店社長」。
この双方にどういう違いがあるのでしょうか。

やはり、「論理性」「準備」につきると思います。
橋下さんは、府・市行政・法規について膨大な知識を蓄え、役人・識者と議論を重ねていました。そのため、会見で記者に後れを取ることなどほとんどありませんでした。

対して、焼き肉店社長は何の準備もせず、ただ会見に臨み、机に頭をぶつけて謝罪し、勢いで乗り切ろうとしました。
そして、その「画」はまさにマスコミの大好物だった。
自ら踊り、マスコミに踊らされた。
それが、視聴者の更なる批判を呼んだのです。

・・・やはり、謝罪会見は「準備が95%、進行が5%」なのです。

まとめ

◆謝罪会見はマスコミにペースを握らせるな!会見の目的をしっかりと見つめよう。
◆会見の良し悪しは準備が決める!論理だけでなく段取りを意識
◆やり過ごすのが会見ではない。信頼を勝ち取るには何が必要か?


ここまで、私が考える「理想的な会見の進め方」を述べてきました。
願わくば、この中のひとつの要素でも、実際に取り入れられることがあれば。そして、世の中の謝罪会見の「常識」が変われば。
この日本が、良くなるのではないか、そう信じています。

「謝る」ことは第一歩でしかありません。
自分のしたことを取り返し、プラスに転ずるには、それ以上のことをやる姿勢、論理、誠意。それしかありません。

私は「謝ること」の価値観を変えたいと思っています。
謝罪会見も、そのひとつです。
謝罪会見の価値観を変えよう。

気が付いたら4000字を超えてました。
また長くなってしまった・・・書いてたら楽しくなってしまってw

読んでいただき、ありがとうございます。
また、「謝ること」について科学して掘り下げたいと思います。

では、また。

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